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2026年02月05日
著作権トラブルに学ぶ、 イベント音楽の落とし穴と知財アドバイス
“いつもの曲”が五輪で突然NG——フィギュアの著作権トラブルに学ぶ、
イベント音楽の落とし穴と知財アドバイス
2026年のミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックを前に、スペインのフィギュアスケーターがシーズン中ずっと使用していた「ミニオンズ」関連の音源について、直前に使用できなくなり、プログラム変更を迫られたと報じられました。所定の申請をしていたにもかかわらず、直前で判断が覆った点が波紋を呼んでいます。
1. 何が起きたのか
報道によれば、当該選手はシーズン中の大会でも同音源を使用していたものの、五輪直前のタイミングで権利クリアの問題が指摘され、ショートプログラムの作り直しを余儀なくされたとされています。
2. なぜ“申請したのにNG”が起きるのか
音楽の権利処理は「1枚の許諾で完結する」とは限らず、権利者が複数層に分かれる場合があります。また、競技のステージが上がるほど(国内大会→国際大会→五輪)、放送・配信・アーカイブ等の利用範囲が広がり、求められる許諾の範囲や条件が変わることがあります。
3. 実務でハマるポイント:権利は「層」と「範囲」で増える
(1)権利の“層”
- 楽曲(作詞作曲)の権利:出版者・作家側
- 録音音源(いわゆるマスター)の権利:レーベル等
- 実演家の権利:国や利用態様により扱いが異なることがある
(2)利用の“範囲”
- 会場で流すだけか(会場内の演奏・再生)
- ライブ配信・放送があるか(世界向け中継等)
- アーカイブ公開やSNS短尺(二次利用)まで想定するか
4. 企業のイベント・広報も他人事ではない
展示会のデモ動画、企業イベントのオープニング映像、SNS投稿のBGMなど、“少しだけ使う”つもりの音源が、配信や二次利用によって想定外に広がるのは日常です。公開直前の差し替えや配信停止、再編集コストは、結局いちばん痛いところに刺さります。
5. 知財アドバイス:トラブル回避の3点セット(チェックリスト)
A. まず決める:利用範囲(ここが9割)
- 会場のみ/ライブ配信あり/アーカイブ公開あり/SNS短尺(二次利用)ありを整理する
- 配信プラットフォームと公開期間(削除要請への対応も含む)を確認する
B. 権利を分解して確認(誰に許諾を取りに行くか)
- 楽曲(作詞作曲):管理事業者(JASRAC等)の管理曲か確認し、必要に応じて申請する
- ネット配信・アーカイブ:会場利用とは別建ての許諾が必要になるケースを想定する
- 編集(メドレー化・尺調整)・映像同期:制作会社任せにせず、必要な許諾範囲を確認する
C. “直前NG”を防ぐ運用
- 可否確定の締切を前倒し(例:公開の4週間前まで)し、ダメなら即差し替える
- 代替BGMを2案用意し、差し替えコストを最小化する
- 証跡(許諾番号、メール、契約書、請求書、曲目報告等)を保管する
D. 委託先との契約条項(制作会社・運営会社)
- 音楽・素材について「権利処理済み保証」「第三者請求時の対応」「損害分担(補償)」を明確化
- 配信停止や差し替えの緊急対応フロー(判断者、連絡網、期限)を定める
※本稿は一般的な情報提供であり、個別案件は利用態様・媒体・契約関係により結論が変わります。

