知財トピックス
2025年12月24日
知財管理のDXと見える化 ― 年末に行う特許・商標の棚卸と期限管理 ―
年末は、経理や契約書、備品など、社内のさまざまな情報を整理する「棚卸し」の時期です。このタイミングでぜひ見直しておきたいのが、特許や商標といった知的財産の棚卸です。
「自社でどんな特許・商標を保有しているのか、正確に把握できていない」
「過去に出願した権利が、今も有効なのか分からない」
「管理は担当者任せで、全体像が見えていない」
こうした状態は、決して珍しいものではありません。特に、長年にわたって事業を続けている企業や、組織変更・担当者交代があった場合、知財情報が分散・属人化しやすくなります。
そこで重要になるのが、知財管理のDXと見える化です。
DXといっても、必ずしも大規模なシステム導入が必要なわけではありません。まずは、
・保有している特許・商標の一覧化、
・出願中・登録済・失効済のステータス整理、
・年金・更新期限の把握、
実際に事業で使われている権利と、使われていない権利の切り分け、といった基本的な棚卸を行うだけでも、知財の状況は格段に分かりやすくなります。
また、知財管理が複雑になる要因として、案件が複数の事務所に分散しているケースも少なくありません。
過去の経緯から国内外で異なる代理人に依頼している場合、どこで何が管理されているのか分からなくなりがちです。
こうした場合でも、権利状況を整理し、一括して管理体制を見直すことで、知財管理の負担やリスクを軽減することが可能です。
特に注意が必要なのが商標権の更新管理です。
商標は、登録から次回更新までの期間が長いため、「まだ先の話」と思われがちです。
しかし、更新期限を過ぎてしまうと、原則として権利は失効してしまいます。
担当者の異動や引き継ぎ不足により、重要なブランドを失ってしまう例も実際に起きています。
年末は、知的財産全体を俯瞰し、「どの権利を、どこで、どのように管理しているのか」を整理する絶好の機会です。
知的財産は、取得して終わりではありません。
適切に管理し、活用してこそ価値を生む経営資源です。
年末の棚卸しをきっかかけに、知財管理のDXと見える化を進め、来年に向けたリスク回避と戦略的活用につなげていきましょう。

