トレンドネタ
2026年02月10日
“応援”のつもりが違反? アンブッシュ・マーケと知財リスク(冬季オリンピック編)
冬季オリンピックの開催期間中は、SNS投稿やキャンペーンをきっかけに企業露出が一気に増えます。そのとき注意したいのが「アンブッシュ・マーケティング(Ambush Marketing)」です。公式スポンサーではない第三者が、広告・販促で“大会と関係がある/公式に協賛している”かのような印象(誤認)を与え、注目や信用を便乗して得ようとする行為をいいます。意図的な便乗だけでなく、うっかり起きるケースも含めて問題になり得ます。
- なぜ知財が絡むのか
大会名・ロゴ・大会を識別する表現は、商標などで保護されます。無断使用は権利侵害となり得るほか、「公式と誤認させる表示」は不正競争(誤認惹起)や、海外では消費者保護当局の規制対象になることもあります。実際、イタリアの競争当局(AGCM)はMilano Cortina 2026に関するアンブッシュの疑いで調査を公表しています。
- 直接型/間接型(用語整理)
(1)直接型:大会の商標(大会名・ロゴ等)を使って、公式関係を匂わせるもの。
(2)間接型:商標そのものは使わないが、表現・演出で公式関係を連想させるもの。
たとえば「◯◯2026応援セール」「金メダル記念キャンペーン」など、一般消費者が“公式の企画”と受け取りかねない見せ方は要注意です。また、会場サインや大会ロゴが写り込んだ写真・動画を広告に流用したり、公式っぽいデザイン(配色・エンブレム風の図案)で訴求したりすると、“誤認”リスクが跳ね上がります。
- 投稿前3分チェック(最低ライン)
大会期間中は監視も厳しく、炎上コストも高くなります。投稿・キャンペーン前に、少なくとも次の3点を確認しましょう。
- コピー・ハッシュタグに「大会を特定する語」(大会名、年号入り呼称等)を入れていないか。
- 画像・動画にロゴ、会場サイン、チケット画面など“公式物”の写り込みがないか。
- 注記(例:「公式スポンサーではありません」)で誤認を抑えられるか(注記だけで安全とは限りません)。
迷う場合は、表現を「冬スポーツ一般」や「競技そのものの魅力」に寄せて大会との関係性を切り離すのが安全です。また、コピー案・画像案の段階で知財レビューを入れると、修正コストを最小化できます。
※本稿は一般的な情報提供であり、個別案件の法的助言ではありません。
参考(参照先)
- International Olympic Committee: Milano Cortina 2026 – Intellectual Property Protection(大会公式サイト内ページ):https://www.olympics.com/ja/milano-cortina-2026/intellectual-property-protection
- Italian Competition Authority (AGCM): Press release on Milano Cortina 2026 ambush marketing investigations(2026年1月):https://en.agcm.it/en/media/press-releases/2026/1/PV23
- WIPO Magazine: Ambush marketing: when sponsors cry foul(解説記事):https://www.wipo.int/en/web/wipo-magazine/articles/ambush-marketing-when-sponsors-cry-foul-40720

