知的財産知恵袋 Mail Magagine Archive
【2012年9月18日 第21号】
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◆◇◆ 佐野国際特許事務所 メールマガジン ◆◇◆
2012年9月18日 第21号
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発信元:佐野国際特許事務所
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目次
◆◇ 特集 米国特許法改正について ◇◆
1.先願主義の導入
2.優先審査制度の改正
3.再審査制度の改正
4.補充審査制度の新設
5.情報提供制度の改正
6.譲受人による出願
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◆◇ 特集 米国特許法改正について ◇◆
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<<はじめに>>
すでに皆様ご存知かと思いますが、2011年9月16に米国特許法が改正され、
改正規定の多くが2012年9月16日に施行されました(先願主義関連については
2013年3月16日施行)。
今回の改正は約半世紀ぶりの大改正と言われており、改正内容も多岐にわた
りますが、その中でも日本人にとって重要であると思われるものを選んで、要
点をお伝えします。
前回の予告では、平成23年度特許法等改正について(その3)をお送りすると
記載しておりましたが、内容を変更してお送り致します。ご了承下さい。
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1.先願主義の導入
今まで米国では先発明主義を採用しており、同じ発明を出願した者が複数あ
る場合は、先に出願した者ではなく、先に発明した者が優先的に特許を取得で
きたのですが、今回の改正で先願主義に移行します。
また、先願主義への移行にともない、日本の「新規性喪失の例外」に対応す
る規定も設けられています。出願前に発明を公表、販売等しても、公表等の日
から出願日(又は優先日)までが1年以内であれば、自らの公表等が拒絶理由
になってしまうことはありません。
日本人の出願の場合、基本的には、我が国特許法の「新規性喪失の例外」に
適合するようにしておけば、我が国及び米国の両方での権利化が可能になると
思われます。また、今までと同様、‘日本では新規性喪失により権利化できな
いが、米国では可能’といったケースもあると思われます。
2.優先審査制度の改正
改正前は、発明者が高齢の場合や特定技術分野の出願についてのみ優先審査
が認められてきましたが、このような制限がなくなりました。パリ優先権出願
について、4800ドル(小規模事業者は半額)の追加手数料で、優先審査を受け
ることができます。優先審査を受けるためには、米国出願と同時に請求しなけ
ればならないこと、クレーム数等に上限があること、拒絶理由に対する反論期
間の延長ができないこと等の制約があります。
なお、PCT出願については、今のところ優先審査を受けることはできませ
ん。
状況に応じて、特許審査ハイウエイによる早期審査と使い分ければ良いと思
います。
3.再審査制度の改正
特許付与後の異議申し立て制度が新設されるとともに、無効審判が改定され
ました。利用率の向上を図るための改正のようです。
4.補充審査制度の新設
米国出願では、特許査定までは、出願人が知っている関連文献をIDS(情
報開示陳述書)として特許庁に提出しなければなりません。今までは、特許後
に提出することはできなかったのですが、新たに設けられた補充審査制度によ
り、特許後も関連文献を提出できるようになりました。関連文献を提出せずに
秘匿していたと疑われることを防止したい場合に使用します。
5.情報提供制度の改正
日本と同様、米国にも情報提供制度(他人の出願の拒絶理由になりそうな文
献等を特許庁に提供することで、その他人の特許権取得を阻止する制度)があ
りますが、今回の改正で提供可能期間が大幅に延びました。出願公開から6ヶ
月又は最初の拒絶理由通知日の遅い方まで(特許許可通知が発行された場合は
その発行日まで)は、情報提供が可能です。
6.譲受人による出願
今まで米国では、企業・団体が特許出願する場合、発明者名で出願手続をし
た後に企業名の出願に変更する必要がありましたが、今回の改正により、日本
等と同様、最初から企業名で出願できるようになりました。
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今回の説明はここまでとします。
次回は、平成23年度特許法等改正について(その3)、以下の内容をお送りする
予定です。
1.通常実施権等の対抗制度の見直し
2.冒認・共同出願違反の出願に係る救済措置の整備
3.商標権消滅後1年間の登録排除規定の廃止
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◆◇ 編集後記 ◇◆
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
天高く馬肥ゆる秋・・・のはずです。
まだまだ夏の気候なのですが。
最近は異常気象のせいか、過ごし易い秋の期間が非常に短く感じますね。
秋刀魚、茄子、梨、栗、茸。
異常気象のせいで不漁、不作であるそうですが残念でなりません。
ところで、天高く馬肥ゆる秋は、そもそも騎馬民族が攻めてくるぞという警告
の意味であったはずですが、実りの秋とか食欲の秋の意味に変わってしまって
いますね。いつの間にやら。
皆様、引き続き今後ともよろしくお願い致します。
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