知的財産知恵袋 Mail Magagine Archive
【2009年10月9日 第5号】
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◆◇◆ 佐野国際特許事務所 メールマガジン ◆◇◆
2009年10月9日 第5号
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発信元:佐野国際特許事務所
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このメールマガジンは、弊所とお取引のあるお客様や、過去に名刺交換等を
させて頂いたお客様等を対象に送らせて頂く、無料のメールマガジンです。
知的財産に関する昨今の話題や、お客様の実務上お役に立つと思われる情報を
ピックアップして、月1回程度のペースで送らせて頂きます。
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目次
◆◇ 特集 出願~登録までの期間について(その2) ◇◆
◆◇ セミナー、コンサル等のご案内 ◇◆
◆◇ 弊所記事掲載のお知らせ ◇◆
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◆◇ 特集 出願~登録までの期間について(その2) ◇◆
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前回より、特許出願等の期間について特集しております。
お客様が特許出願等の出願~登録までの期間を想定する上で、参考にして頂け
れば幸いです。
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<特許の期間(考察その2)>
前回は、日本国特許庁の「主要統計」によれば、日本における特許出願の
ファーストアクション期間が平均28.5ヶ月(2008年)である、というお話しまで
しました。
今回はその続きです。
前回の疑問は、日本の特許庁はひとつの特許出願の審査を平均2年以上
かけて行っているのでしょうか?・・・ということでした。
答えは“No”です。
実は、この『28.5ヶ月』の大半は審査をしている期間ではなく、順番待ちの
時間なのです。
特許出願の審査は、原則、出願審査請求がされた順番に行われます。
ところが、現在の日本の特許庁では、特許出願の件数に比べ、出願を審査する
審査官の人数が圧倒的に足りていないので、審査官に審査してもらえるまでの
待ち時間がもの凄く長くなってしまっているのです。
そのために、このような事態が起こっています。
一方、ファーストアクションで「拒絶理由通知書」が来た際に出願人が「手続
補正書」や「意見書」を特許庁に提出した場合、そこから特許庁の2度目のアク
ション(即ち、「特許査定」や2度目の「拒絶理由通知書」)が来るまでの期間や、
審査段階で3度目以降のアクションが来るまでの期間は、ファーストアクション
期間よりはずっと短くなります。
審査段階における2度目以降のアクションの所要期間については、特許庁の
統計資料等は出ていません。
ただ、弊所の実務経験に即してみると、だいたい、数ヶ月~1年ぐらいになる
場合が多いです。
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<モデルケースに基づく、具体的な期間の算出>
これらを踏まえつつ、特許出願における出願~登録までに要する大体の期間を
具体例に基づいて考えてみることにします。
[モデルケース1]
まずは、
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
(1)特許出願
(2)特許出願から3年経過直前に出願審査請求
(3)最初の拒絶理由通知書
(4)手続補正書・意見書提出
(5)特許査定
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
という流れで手続が行われた場合を考えてみます。
出願~登録までの流れとしては、標準的なケースといえます。
なお、実際の手続上は、(5)の特許査定の後、特許庁に特許料を納付すると
設定登録されて特許権が発生するのですが、特許査定~納付~設定登録の
期間はごく短期間なので、説明の簡単のため、今回考察する期間からは
割愛いたします。
まず、(1)→(2)までに約3年かかります。
次に、(2)→(3)までに約28.5ヶ月かかります。
また、拒絶理由通知書に対する手続補正書と意見書を作成・提出する期限
は、通常、拒絶理由通知書の発送日から60日が定められます。
従って、(3)→(4)までに2ヶ月程度かかることが多いです。
更に、(4)→(5)までに特許庁が要する期間を約6ヶ月としてみます。
これらを合計すると、特許出願から特許査定が出るまで約6年の期間を要する
ことになります。
これを図示すると、下記(図1)のようになります。
* 図がうまく表示されない場合、メーラを「等幅」設定にしてご覧下さい。*
(Outlook Expressの場合:「表示」→「文字のサイズ」→「等幅」)
[モデルケース2]
ところで、出願審査請求は出願から3年以内に行います(特許法第48条の3)。
つまり、出願審査請求は特許出願から3年以内であれば長くすることも
短くすることもできます。
最短は、出願と同時に出願審査請求を行った場合です。
この場合、
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
(1)特許出願、同時に出願審査請求
(2)最初の拒絶理由通知書
(3)手続補正書・意見書提出
(4)特許査定
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
という流れで手続が行われた場合を考えてみます。
[モデルケース1]と同様に考えると、
(1)→(2)までに約28.5ヶ月、
(2)→(3)までに約2ヶ月、
(3)→(4)までに約6ヶ月かかることになります。
これらを合計すると、特許出願から特許査定が出るまで約3年の期間を要する
ことになります。
これを図示すると、下記(図2)のようになります。
[モデルケース3]
一方、特許庁の審査官が拒絶理由通知を出す回数は定められていません。
ですので、不幸にして拒絶理由通知書が2回、3回と来てしまう場合も
あります。
更に、もっと不幸にして、拒絶理由通知書に対して手続補正書・意見書を
提出したけれども、「拒絶査定(その特許出願に特許を認めない旨の、
審査段階における最終決定)」が出てしまう場合もあります。そして、出願
人がこの「拒絶査定」に承服できない場合には、特許庁に対し、「拒絶
査定不服審判」を請求して争うこともできます(特許法第121条)。
このようなケースとして、
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
(1)特許出願
(2)特許出願から3年経過直前に出願審査請求
(3)最初の拒絶理由通知書
(4)手続補正書・意見書提出
(5)拒絶査定
(6)拒絶査定不服審判
(7)審決(特許)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
という流れで手続が行われた場合を考えてみます。
まず[モデルケース1]と同様に考えると、
(1)→(2)までに約3年、
(2)→(3)までに約28.5ヶ月、
(3)→(4)までに約2ヶ月、
(4)→(5)までに約6ヶ月かかることになります。
次に、拒絶査定不服審判は、拒絶査定の謄本の送達から3月以内に行わねば
なりません。
従って、多くの場合、(5)→(6)までに約3ヶ月かかることになります。
更に、拒絶査定不服審判を請求してから審決(最終決定)が出るまでにも、
比較的長い期間を要します。
ここでは、(6)→(7)までに要する期間を約3年としてみます。
これらを合計すると、特許出願から特許審決が出るまで約9年の期間を要する
ことになります。
これを図示すると、下記(図3)のようになります。
なお、「拒絶査定」にならず、「拒絶理由通知書」が複数回繰り返された場合
には、上記[モデルケース3]よりは期間が短くなる場合が多いです。
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<まとめ>
以上を総合すると、特許出願から登録までに要する期間は約6年±約3年、
即ち、
・短ければ約3年
・標準は約6年
・長ければ約9年
ということになります。
なおくり返しますが、上記期間はあくまでも大体の目安であり、技術分野や
個々の出願の性質等によって変動しうるものであることをご了承下さい。
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ところで、特許の期間は長いですね。
特に、ファーストアクション期間の『28.5ヶ月』・・・。
過去にこれを説明したら、非常に驚かれたお客様も多く、中にはお怒りに
なった方もいらっしゃいます。
無理もありません。日常生活や通常の商取引で、こんなに長い期間が発生する
ものはあまりないはずです。
で、そういうお客様の多くが次に尋ねてこられるのは、期間をもっと短くする
方法はないのか、ということです。
今これをお読みの方にも、そう思われておられる方はきっと多いと思います。
これについては、後の回で説明しますので、暫くお待ち下さい。
<来月号につづく>
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◆◇ 弊所記事掲載のお知らせ ◇◆
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下記の冊子に、弊所の紹介記事を掲載して頂きました。
「国際ジャーナル」2009年10月号(国際通信社)
弊所所長の佐野のインタビューが中心となっており、弊所の概要や、弊所
サービスの理念等について、記載して頂いております。
ご興味があれば是非ご一読下さい。
また、同紹介記事は下記URLのページにも掲載されておりますので、併せて
ご参照下さいますようお願い致します。
http://www.kokusaig.co.jp/0910/jn_sanopat/
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◆◇ 編集後記 ◇◆
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
今回は、特許等の出願から登録までに要する期間について、具体的に算出して
みました。
先月号でも述べました通り、特許の期間は高い精度で想定することがとても
難しいので、今回出した数字もかなり大雑把なものになってしまいましたが、
ひとつの目安として、お役立て頂ければ幸いです。
昨日は2年ぶりの台風上陸となり、各地で大きな被害も出たようですが、皆様
は大丈夫でしたか?
首都圏は交通機関が大混乱で、止まってしまった路線も多数ありました。
でも、それでも振替輸送に乗り換えたり駅で長時間待ち続けたりして出勤
しようとする日本人は、やはり勤勉な国民だと改めて思いました。
明日からは3連休ですね。台風一過で全国的に天候も良くなるようです。
皆様、十分に休日を満喫してリフレッシュして下さい。
今後も皆様にご満足頂けるサービスを提供できるよう所員一同尽力する
所存ですので、引き続き、今後ともよろしくお願いいたします。
なお、ご意見やご要望があれば遠慮なく、下記の「連絡先」までご連絡下さい。
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発信元:佐野国際特許事務所
〒104-0042
東京都中央区入船1丁目2番9号
八丁堀MFビル9階
TEL:03-3206-2731
FAX:03-3206-2732
E-mail: sanopat@sanopat.jp
URL: http://www.sanopat.jp/
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