お問い合わせ

お問い合わせはこちら

 

トップページ > お知らせ&トピックス

海外サーバ特許保護強化のご案内

外国に存在するサーバーに日本の特許権の効力が及び
-ドワンゴ対FC2事件(令和4年(ネ)第10046号)-

 原則、日本の特許権は、日本国内で実施された行為に対してのみ、権利の効力が及びます(属地主義)。
 上記事件では、外国に存在するサーバーと日本国内に存在するユーザ端末からなるシステムを新たに作り出す行為が、日本の特許権の効力が及ぶのか判断が示されました。
 裁判所は、下記の各要件を総合考慮して、我が国の特許法の効力が及ぶと判断されております。なお、各要件の上記事件での具例を記載致します。

①行為の具体的態様
→米国に存在するサーバから国内のユーザ端末に各ファイルが送信され、国内のユーザ端末がこれらを受信する。送信及び受信(送受信)は一体として行われ、国内のユーザ端末が各ファイルを受信することによって被告システムが完成することから、上記送受信は国内で行われたものと観念できる。
②国内に存在する要素が発明において果たす機能・役割
→国内に存在するユーザ端末とから構成されるものであるところ、国内に存在する上記ユーザ端末は、発明の主要な機能である動画上に表示されるコメント同士が重ならない位置に表示されるようにするために必要とされる判定部の機能との表示位置制御部の機能を果たしている。
③システムの利用により発明の効果が得られる場所
→被告システムは、ユーザ端末を介して国内から利用することができるものであって、コメントを利用したコミュニケーションにおける娯楽性の向上という発明の効果は国内で発現している。
④システムの利用が特許権者の経済的利益に与える影響等
→国内における利用は、控訴人が本件発明を国内で利用して得る経済的利益に影響を及ぼし得る。

この事件によってシステム特許では、サーバーを外国に設けたからといって特許を回避することができるとは言えなくなりました。また、日本国内で発明の効果が発揮している状況で、特許権者の影響を考慮すれば、特許権の侵害となりうると判断されることになります。 

お知らせ&トピックス
Information & Topics