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知的財産知恵袋 Mail Magagine Archive

【2012年6月22日 第19号】

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◆◇◆ 佐野国際特許事務所 メールマガジン ◆◇◆
2012年6月22日 第19号
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発信元:佐野国際特許事務所

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このメールマガジンは、弊所とお取引のあるお客様や、過去に名刺交換等を
させて頂いたお客様等を対象に送らせて頂く、無料のメールマガジンです。

知的財産に関する昨今の話題や、お客様の実務上お役に立つと思われる情報を
ピックアップして、送らせて頂きます。

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目次

◆◇ 特集 平成23年度特許法等改正について(その1) ◇◆

 1.各種料金の引き下げ

 2.特許料等の減免制度の拡充

 3.発明の新規性喪失の例外規定の見直し等

 4.出願人・特許権者の救済手続の見直し

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◆◇ 特集 平成23年度特許法等改正について(その1) ◇◆

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<<はじめに>>

すでに皆様ご存知かと思いますが、平成23年(2011年)に特許法等の改正が行
われ、平成24年(2012年)4月1日に施行されました。
本改正についてご質問を数多くいただいておりますので、3回にわたり本改正
について解説させて頂きます。

本改正は特許法、実用新案法、意匠法、商標法等にわたりますが、特許法に関
する話が中心になりますことをご了承下さい。

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1.各種料金の引き下げ

<<法改正前の問題点>>
現在、企業の知的財産活動費や出願件数等が減少傾向にあるのに
審査請求料が割高だという問題があります。
また、意匠登録料の後年度負担が国際的に高いという問題があります。
また、我が国出願人による海外への出願は増加傾向にありますが、
海外出願の割合は他国に比べて低い水準にあります。

<<改正法>>
そこで、出願審査請求料、意匠登録料、国際調査手数料等の料金を
引き下げる改正が行われました(表1~表3参照)。

* 図がうまく表示されない場合、メーラを「等幅」設定にしてご覧下さい。*
(Outlook Expressの場合:「表示」→「文字のサイズ」→「等幅」)

2.特許料等の減免制度の拡充

<<法改正前の問題点>>
法改正前において、資力の乏しい者が出願した特許出願、及び
資力の乏しい特許権者の特許権に対する減免制度は存在しました
(1/2軽減または免除)。
しかし、法改正前の減免制度は利用しづらく、軽減額が低額であることから、
効果が低く、十分利用されていなかったという問題がありました。

<<改正法>>
そこで改正法においては減免の対象を以下のように拡大しました(表4参照)。

(1)特許料の減免期間を3年から10年に延長しました(特許法第109条)。
(2)「資力に乏しい者」の「資力」の要件を拡大しました(同条)。
具体的な減免対象者は政令で指定されます。
(3)法改正前における「職務発明」「予約承継」の要件を廃止しました
(同条)。これにより、他者から発明を承継された場合も減免の対象と
なります(同条)
(4)中小企業や大学等に対する特許料の減免期間が改正前の
「3年」から「10年」へと延長され,同時に対象となる
中小企業の範囲が拡大されました(同条)。
中小企業等が特許権を取得・保持しやすくするための改正と
いうことができます。

なお、出願審査請求料の軽減制度は、改正前と同様に存在します。
ただし、法人や団体によっては、軽減の種類(1/2軽減または免除)が
変更されたものもあります。

3.発明の新規性喪失の例外規定の見直し等

<<法改正前の問題点>>
法改正前は、試験の実施、特定博覧会への出展、学会発表等、
特許法が定めた特定の要件を満たす場合にのみ、新規性喪失の例外規定の
適用が認められていました(特許法第30条)。
しかし、これでは、公開態様が多様化した現在の状況には十分に
対応できていないという問題がありました。

例えば、法改正前は、インターネットを通じて動画配信された発明は
新規性喪失の例外規定の適用対象となる一方で
テレビで発表された発明は同規定の適用対象とはならないような不均衡も
生じていました(図1参照)。

<<改正法>>
そこで改正法においては、新規性喪失の例外規定の適用対象を拡大し、
「特許を受ける権利を有する者の行為に起因して」公開された発明は、
新規性喪失の例外規定の適用対象となる旨、規定されました(特許法第30条)
(図2参照)。

また、特許公報等(内外国特許庁が発行した特許公報等)に掲載された発明は、
新規性喪失例外の適用対象外であることが明確化されました。

4.出願人・特許権者の救済手続の見直し

<<法改正前の問題点>>
法改正前において、外国語書面出願及び外国語特許出願の翻訳文提出期間は
救済規定が存在せず、制度の国際調和が果たされていないという問題が
ありました(図3参照)。
また、特許料の追納期間は認められていましたが、要件が厳格に制限されて
おり、実質的な救済にあたっていないという問題がありました(図8参照)。

<<改正法>>
(1)改正法においては、外国語書面出願及び外国語特許出願の
翻訳文提出期間に、「正当な理由」があったときは、
期間経過後1年以内であって理由がなくなってから2月以内で
あれば、救済手続による翻訳文の提出を認めるものとしました
(特許法第36条の2、第184条の4)(図4参照)。

(2)また、改正法においては、特許料及び割増特許料の追納について
救済を認める要件を、「その責めに帰することができない理由」から
「正当な理由」に変更しました。
また、改正法においては、手続可能な期間を「期間経過後6月以内であって
理由がなくなってから14日以内」(図5参照)から「期間経過後1年以内であって
理由がなくなってから2月以内」に拡大しました(特許法第112条の2)(図6参照)。

<「正当な理由」として認められる可能性の高い事由>
たとえば、以下のようなものが考えられます。
・出願人(特許権者)が病気で突発的な入院
・出願人(特許権者)が使用する期間管理プログラムの発見不能な不備

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今回の説明はとりあえずここまでとします。
次回は、平成23年度特許法等改正について(その2)、以下の内容をお送り致し
ます。

 1.審決取消訴訟提起後の訂正審判の請求の禁止

 2.再審の訴え等における主張の制限

 3.審決の確定の範囲等に係る規定の整備

 4.無効審判の確定審決の第三者効の廃止

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◆◇ 編集後記 ◇◆
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。

さて、北海道を除く全国的に梅雨入りしました。
編集後記を書いている現在、台風4号が猛威を振るっています。

この時期寒暖の差も激しくなりますし、食べ物の足も早くなります。

体調管理は十分にお気をつけ下さい。

皆様、引き続き今後ともよろしくお願い致します。

ご意見やご要望があれば遠慮なく、下記の「連絡先」までご連絡下さい。

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