知的財産知恵袋 Mail Magagine Archive
【2011年6月17日 第17号】
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◆◇◆ 佐野国際特許事務所 メールマガジン ◆◇◆
2011年6月17日 第17号
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発信元:佐野国際特許事務所
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このメールマガジンは、弊所とお取引のあるお客様や、過去に名刺交換等を
させて頂いたお客様等を対象に送らせて頂く、無料のメールマガジンです。
知的財産に関する昨今の話題や、お客様の実務上お役に立つと思われる情報を
ピックアップして、送らせて頂きます。
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◆◇ 特許法等の一部の改正について ◇◆
<<はじめに>>
2011年5月、特許法等の一部の改正法案が衆参両議院で可決されました。
そこで今回の改正について重要な項目をご説明いたします。
なお、改正法が施行される日にちについては未定ですので、予めご了承下さ
い。
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<<特許法等平成23年改正について>>
1.法律改正の趣旨について
近年、社外技術を活用して研究開発や製品化を行うオープン・イノベーショ
ンが進展しています。
例えば、他社の有する特許権を利用して自社で研究開発する場合や、他社企
業・大学などと協力して研究開発する場合が増えてきております。
さらに具体例を挙げれば、DVDの製品化には他社の特許権が約2000件
ほど必要となるそうです。
そこで、以下のような改正が行われます。
(1)ユーザーの利便性向上
(2)ライセンス契約の保護の強化
(3)共同研究等の成果に関する発明者の適切な保護
(4)紛争の迅速・効率的な解決のための審判制度の見直し
以下説明いたします。
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(1)ユーザーの利便性向上
①料金の見直し
我が国全体のイノベーション(革新)の促進のためには、中小企業や大学等
の知的財産を活かすことが必要です。
そこで、知的財産権の利便性を向上させるために、中小企業等に対する特許
料減免期間を、現在の第1~3年分の登録料から第1~10年度分の登録料に
まで拡大し、また、「資力に乏しい者」との制限を「資力を考慮して」との制
限へと緩和します。
②手続の見直し
現行制度では、発明者自身が学会等で発明を公にした場合でも、その公表態
様によっては、特許権等の取得が認められなくなる場合がありました。
そこで、発明者が自ら公表した場合であれば、公表態様を問わず、発明が公
になった後でも特許権等を取得し得るように要件が緩和されます。
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(2)ライセンス契約の保護の強化
現在、ライセンスを受けた者(ライセンシー=通常実施権者)は、ライセン
スを特許庁に登録しないと、その後に特許権等を譲り受けた者に対して、自分
がライセンシーであると、すなわち、特許権に係る発明を実施する権利がある
と主張することができません。
しかし、ライセンシーはライセンスを与えた者(ライセンサー)に対し、登
録することを請求することができないため、実務上、登録されることは極めて
まれとなっています。
そのため、差止請求等を受けた場合、事業継続が不可能となる可能性があり
ます。
そこで、改正法では、ライセンシーの安定的な事業継続のため、登録なくて
も、第三者からの差止請求等に対抗できることとします。
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(3)共同研究等の成果に関する発明者の適切な保護
共同研究・共同開発が一般化する中で、共同発明者の一部によって特許権が
取得されてしまうケースなどが発生しています。
特許庁の発表によると、共同研究・共同開発をした経験がある企業・大学の
中で、共同で出願すべき発明を無断で単独で出願されてしまった経験のある大
学・企業は約40%にものぼるそうです。
しかし、このような出願をされてしまっても、他の発明者保護の手段はその
特許権等を無効とする等に限られていました。
そこで、改正法では、このような場合に、発明者が特許権等を自らに返還請
求できる制度を導入します。
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(4)紛争の迅速・効率的な解決のための審判制度の見直し
①紛争処理の迅速化等
現在、無効審決の取消訴訟の提起後でも、争いの対象となった特許権の内容
を訂正する審判が請求され、事件が特許庁に差し戻されてしまうなど、紛争解
決が非効率となる場合が生じています。
そこで、紛争処理の迅速化のため、無効審判の段階で訂正の機会を十分に担
保した上で、訴訟提起後は訂正審判の請求を禁止する等の見直しを行います。
②紛争処理の適正化
現在、無効審判の審決が確定した後は、審判請求人以外の者でも同一の事実
及び証拠に基づいて争うことが認められません(一事不再理効)。
そのため、請求人の主張が稚拙であったために負けてしまっていたことが審
決確定後に判明した場合など、審判請求人以外の者にとって不測の事態が生じ
てしまうおそれがありました。
そこで、紛争処理の適正化のため、確定審決の当事者以外の者によるこのよ
うな無効審判請求を認めることとしました。
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<<終わりに>>
上記のような改正点がありますが、これが全てではありません。
改正法が実際に適用される施行日に近づきましたら、改めてメールマガジン
にて解説いたします。
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◆◇ 編集後記 ◇◆
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先日の震災などの影響もあり、まだまだ日本経済は低迷中です。
こんな時代に足元ばかり見て歩いていては気持ちも沈んで行くばかりです。
そこで上を向いて歩ける方法をご紹介します。
その方法とは、「看板(商標)を見ながら歩く」ことです。
商標とは、「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又
はこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産し、証明し、又は譲渡
する者がその商品について使用をするもの、又は業としてサービスを提供し、
又は証明する者がその役務について使用をするもの」です。
平たく言えば、商品・サービスの出所を示すマークです。
街を歩けば、お店の看板や商品の広告が溢れています。
ネオンで彩られた煌びやかな看板もあれば、地味な看板もあります。
どんな店・商品だろうか、なぜその名称になったのか、あのデザインを真似
しているな等、想像(妄想?)は広がります。
知財の人間としては、出願した場合に登録を受けることが可能か、あのキャ
ラクターを使っているけど権利関係は大丈夫なのだろうか、そもそも商標登録
出願しているのかな等、職業病が出てしまいますが。
看板を見て歩いていけば、自然と視線は上へ上へ。
そのまま気分も景気も懐具合も上々になれば良いですね。
なお、商標は出願し登録を受ければ、独占的に使用する権利を生じます。
当所では商標登録出願も受け付けておりますので、ご要望がございましたら
是非当所までご相談下さい。
それでは
皆様、引き続き今後ともよろしくお願い致します。
ご意見やご要望があれば遠慮なく、下記の「連絡先」までご連絡下さい。
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〒104-0042
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