知的財産知恵袋 Mail Magagine Archive
【2010年1月29日 第9号】
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◆◇◆ 佐野国際特許事務所 メールマガジン ◆◇◆
2010年1月29日 第9号
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発信元:佐野国際特許事務所
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このメールマガジンは、弊所とお取引のあるお客様や、過去に名刺交換等を
させて頂いたお客様等を対象に送らせて頂く、無料のメールマガジンです。
知的財産に関する昨今の話題や、お客様の実務上お役に立つと思われる情報を
ピックアップして、月2回程度のペースで送らせて頂きます。
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目次
◆◇ 弊所新サービス
初期費用のいらない成功報酬型の「技術問題解決コンサル」のご案内 ◇◆
◆◇ 特集 特許などの費用でメリットを得る方法(その1) ◇◆
◆◇ セミナー、コンサル等のご案内 ◇◆
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◆◇ 弊所新サービス
初期費用のいらない成功報酬型の「技術問題解決コンサル」のご案内 ◇◆
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◆◇ 特集 特許などの費用でメリットを得る方法(その1) ◇◆
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前回までは、特許出願等の期間について特集しました。
今回からは、費用について特集します。
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<<はじめに>>
特許等の出願経験がある人ならご存じと思いますが、工業所有権の権利取得
には、ある程度まとまった費用がかかります。
この負担を少しでも軽減する方法があれば、ありがたいですよね。
そこで今回は、費用でメリットを得る方法について考えてみたいと思います。
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<<工業所有権に関する費用とは?>>
工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)の出願や、権利を維持する
ための各種手続を行う場合、多くは費用が発生します。
費用の内訳は、主に以下4種類に分けられます。
(1)日本の特許事務所の手続によって発生する費用(日本出願、外国出願)
(2)外国の特許庁の手続によって発生する費用(外国出願)
(3)日本の特許庁への支払いによって発生する費用(日本出願)
(4)外国の特許庁への支払いによって発生する費用(外国出願)
このうち、(3)や(4)はお役所に支払う費用です。
お役所の費用は、公平を期する意味で通常は一律の金額が規定されています。
ところが、工業所有権の場合、ある条件を満たした場合、特許庁に支払う
費用が安くなったり、一定期間の支払いの猶予がもらえたりするのです。
そこで、これらの費用でメリットを得る方法について特集してみたいと
思います。
なお、今回扱うのは上記(3)の費用のみです。
(4)は、「外国」の数が膨大すぎるので、今回は割愛させて頂きます。
ご了承下さい。
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<<特許法等で規定する、費用でメリットを得られる場合>>
特許法等のいわゆる工業所有権法は、ある特定の条件を満たしている出願や
権利について、費用でメリットが得られることを規定しています。
今回のメールマガジンでは、それについて説明します。
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<<費用でメリットを得られる主体>>
工業所有権法の規定により費用でメリットが受けられる場合は、ひらたく言う
と、主に金銭的に不利な人や団体が出願人や権利者である場合です。
具体的には、以下の人、団体がそれに該当します。
(a)資力に乏しい個人
(b)資力に乏しい法人
(c)研究開発型中小企業
(d)大学等、大学等の研究者
(e)大学等承認TLO
(f)特定の独立行政法人
(g)特定の独立行政法人認定TLO
(h)公設試験研究機関
(i)地方独立行政法人
(j)国
(k)国立試験研究機関認定TLO
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<<費用でメリットを得られる対象>>
以下の出願手続き、及び権利化後の手続きが対象となります。
(A)出願審査請求料(特許法第195条の2)
(B)特許料1~3年分(特許法第109条)
(C)実用新案技術評価書請求料(実用新案法第54条)
(D)実用新案登録料(実用新案法第32条の2)
つまり、ここで対象となるのは工業所有権の中でも特許、実用新案のみであり、
意匠、商標は対象となりません。
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<<どういうメリットが得られるの?>>
特許庁に支払う費用を「猶予」または「軽減」または「免除」してもらえます。
これらは読んで字のごとしですが一応説明すると、
「猶予」とは、支払い期限を先延ばしにしてもらえることです。
「軽減」とは、支払う金額を減額してもらえることです。
「免除」とは、費用の支払いがゼロになることです。
なお、「猶予」してもらった上で更に「軽減」してもらうような合わせ技は、
残念ながら認められていないようです。
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<<より具体的には>>
上記内容を、(a)~(k)の主体ごとにもう少し詳細に説明します。
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(a)資力に乏しい個人
これは、以下(要件1)~(要件3)のいずれかに該当する人があてはまります。
・(要件1)生活保護を受けている者
・(要件2)市町村民税非課税者
・(要件3)所得税非課税者
対象となるのは、(A)出願審査請求料、(B)特許料1~3年分、(C)実用新案技術
評価書請求料、(D)実用新案登録料の4つです。
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(b)資力に乏しい法人
これは、会社(個人事業主、会社、財団法人、社団法人など)の発明が、
以下(要件1)~(要件5)の全てを満たす発明であることが条件となります。
・(要件1)発明が、いわゆる「職務発明(従業員等が会社で行う職務に基づいて
生まれた発明のこと。特許法第35条)」であること。
・(要件2)職務発明を予約承継した使用者等の出願、権利であること。
・(要件3)資本金3億円以下であること
・(要件4)法人税が課されていないこと
・(要件5)他の法人に支配されていないこと
対象となるのは、(A)出願審査請求料(半額軽減)、(B)特許料1~3年分です。
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(c)研究開発型中小企業
これは、会社(個人事業主、会社、財団法人、社団法人など)の発明が、
以下(要件1)~(要件4)の全てを満たす発明であることが条件となります。
・(要件1)発明が、いわゆる「職務発明(従業員等が会社で行う職務に基づいて
生まれた発明のこと。特許法第35条)」であること。
・(要件2)職務発明を予約承継した使用者等の出願、権利であること。
・(要件3)いわゆる、中小企業基本法等に定める中小企業であること。
・(要件4)試験研究費等比率が3%超であること、または、中小企業新事業
活動促進法等に基づく認定事業に関連した出願であること。
対象となるのは、(A)出願審査請求料(半額軽減)、(B)特許料1~3年分です。
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(d)大学等、大学等の研究者
これは、対象となる発明が、(要件1)を満たし、かつ(要件2)~(要件4)の
何れかを満たす発明であることが条件となります。
・(要件1)大学等(国公立大学、私立大学、高等専門学校)の研究者等
(教授、助教授、助手等)の職務発明であること。
・(要件2)発明した研究者等が自らした発明であること。
・(要件3)発明した研究者等から大学等が承継した発明であること。
・(要件4)大学等研究者等と企業等が共同研究した成果の発明であること。
対象となるのは、(A)出願審査請求料(半額軽減)、(B)特許料1~3年分です。
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(e)大学等承認TLO
これは、対象となる発明が、(要件1)を満たすことが条件となります。
・(要件1)いわゆる「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者
への移転の促進に関する法律」に基づいて、承認TLOが出願した特許出願
又は特許であること。
つまり、大学等(国公立大学、私立大学、高等専門学校)の研究者等の職務発明
を、いわゆる承認TLOが承継して出願した特許出願、及びそれに基づく特許
が対象です。
対象となるのは、(A)出願審査請求料(半額軽減)、(B)特許料1~3年分です。
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(f)特定の独立行政法人
(g)特定の独立行政法人認定TLO
これは、対象となる発明が、(要件1)、及び(要件2)又は(要件3)を満たすこと
が条件となります。
・(要件1)いわゆる、試験研究独立行政法人(技術力強化法施行令(平成12年
法律第206号)第3条に規定する独立行政法人)の研究者がした職務発明で
あること。
・(要件2)上記(要件1)の職務発明をその試験研究独立行政法人が承継した
こと。
・(要件3)上記(要件1)の職務発明をその試験研究独立行政法人の認定TLOが
承継したこと。
対象となるのは、(A)出願審査請求料(半額軽減)、(B)特許料1~3年分です。
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(h)公設試験研究機関
対象となる発明が、(要件1)~(要件3)の全てを満たすことが条件となります。
・(要件1)地方公共団体の条例等により設置された公設試験研究機関であり、
その機関の業務として、試験研究を行っていること。
・(要件2)当該発明が公設試験研究機関の研究者がした職務発明であること。
・(要件3)上記(要件2)の職務発明をその公設試験研究機関の設置者が承継
したこと。
対象となるのは、(A)出願審査請求料(半額軽減)、(B)特許料1~3年分です。
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(i)地方独立行政法人
対象となる発明が、(要件1)~(要件3)の全てを満たすことが条件となります。
・(要件1)地方独立行政法人法第2条第1項に規定する地方独立行政法人で
あって、試験研究を行っていること。
・(要件2)当該発明が公設試験研究機関の研究者がした職務発明であること。
・(要件3)上記(要件2)の職務発明をその公設試験研究機関の設置者が承継
したこと。
対象となるのは、(A)出願審査請求料(半額軽減)、(B)特許料1~3年分です。
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(j)国
(k)国立試験研究機関認定TLO
このメールマガジンの購読者に該当者がいないので、割愛します(笑)。
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<<どうすればメリットが得られるの?>>
「軽減」又は「免除」を受ける場合には、原則として、受ける手続きと同時に
特許庁に所定の申請書を提出します。
なお、弊所が特許庁の方式審査課に確認したところ、特許庁は、「軽減」又は
「免除」について事後的な申請(つまり、一旦通常の金額で払ってしまった
費用の払い戻し申請)も受け付ける運用も行っているそうです。
なお、この場合はいわゆる過誤納の手数料返還(特許法第195条第11項)の扱い
ですので、請求の対象となる手続を行ってから一年以内に返還請求の手続を
行うことが必要です(同12項)。
「猶予」の場合は、猶予期限内に支払いを行います。
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<<参考資料>>
上記「軽減」「免除」「猶予」については、以下の特許庁ホームページにも
説明がありますので、ご参照下さい。
「特許料等の減免制度について」
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/tetuzuki/ryoukin/genmensochi.htm
また、上記のページには、個人や中小企業の方が費用のメリットを受けること
ができるかを簡単に判定できるツールもあります。
ご興味のある方は、同ページ内の「個人・中小企業向け特許料等減免制度の
簡易判定ページ」という項目をクリックして、試してみて下さい。
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これらは全て、特許法等の法律で規定された方法でした。
でも、これら以外にも、費用でメリットを得られる方法は存在します。
次回は、その方法について取り上げたいと思います。
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◆◇ セミナー、コンサル等のご案内 ◇◆
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弊所では、「企業価値の最大化」を目指した研究開発・知財戦略の計画・実行
のお手伝いをする「研究開発・知財戦略ソリューション」サービスを提供して
おります。
その概要は以下のとおりです。
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(1)「知財戦略セミナー」
貴社の「知的創造サイクル(知財創造→知財保護→知財活用)」の円滑
な実施に役立つ「知財戦略セミナー」を開催しています。
公開セミナーに参加することで、具体的な手法と弊所で提供するソリュ
ーションの概要を把握していただけます。
セミナー開催形式は、以下(a)(b)に示す2通りがあります。
(a)外部機関主催の公開セミナー
(b)外部機関と弊所との共催による公開セミナー
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(2)「知財戦略セミナー」出張サービス
貴社の事業所に弊所の講師が出張して、貴社が抱えている問題を題材に
して「知財戦略セミナー」出張サービスを行います。
具体的な問題を解決する担当者全員に対する意識付けを行うためのキッ
クオフ・セミナーとして、ご利用いただけます。
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(3)「知財戦略コンサル」サービス
貴社が他社に先駆けた開発テーマの発見、課題の実現ができるように
なる「知財戦略コンサル」サービスを提供しております。
ワークショップ形式で進めますので、参加者が実践的なスキルを身に
つけることができます。
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(4)「特許調査とパテントマップ作成」サービス
具体的な研究開発テーマに関する問題解決のために必要となる特許調査
やパテントマップについては「特許調査とパテントマップ作成」サービス
を提供しています。
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なお、上記サービスの詳細は、下記URLにてご確認下さい。
<研究開発・知財戦略ソリューションのご提案>
http://www.sanopat.jp/Solution_Proposal.pdf
また、上記(1)(2)に示すセミナーの詳細は、下記URLにてご確認下さい。
<セミナーのご案内>
http://www.sanopat.jp/seminar/index.htm
<知的創造力養成セミナー 一般公開>
http://www.tizai.sanopat.jp/index.html
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◆◇ 編集後記 ◇◆
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
先立つものはお金、というのは知財の世界もご多分に漏れません。
せっかくよい発明が生まれても、お金がなければ保護は図れません。
でもその一方で、節約したり、支払いを繰り延べるための制度も存在するので、
それらをうまく使えばお金の問題が軽減される場合も多いと思います。
皆様にも是非これらの制度を活用して頂き、知財の費用を賢くやりくりして
頂けたらと思います。
話は変わりますが、
西暦2010年1月1日、寅年が始まりました・・・という文章をどう思いますか?
日本ではこれで正しいですね。
ところが、近隣諸国(例えば中国あたり)ではこれは間違いなんだそうです。
何故なら、これらの国では旧暦の正月に干支が変わるからです。
つまり、これらの国では今日(西暦2010年1月29日)は丑年なんですね。
私はつい最近これを知って、ショックを受けました。
「カレンダーの1月1日に干支が変わる」のは私にとって常識だったのに、それ
は全ての人にとっての常識ではなかったからです。
何が「常識」なのかは、相手や時や場所によって異なるものだということを、
改めて実感しました。
昨年、一昨年に続き、今年も色々な面で変動の多い年になるかもしれません。
そして、そんな時こそ「常識」にとらわれない柔軟な発想や行動が求められる
ように思います。
そして、今年も弊所は、旧来の「常識」にとらわれず、時代やお客様のニーズ
に適合するサービスをご提供できるよう、業務に邁進する所存です。
皆様、本年も引き続きよろしくお願い致します。
なお、ご意見やご要望があれば遠慮なく、下記の「連絡先」までご連絡下さい。
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発信元:佐野国際特許事務所
〒104-0042
東京都中央区入船1丁目2番9号
八丁堀MFビル9階
TEL:03-3206-2731
FAX:03-3206-2732
E-mail: sanopat@sanopat.jp
URL: http://www.sanopat.jp/
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